相続放棄後にしてはいけないことに関するQ&A

文責:所長 弁護士 江口潤

最終更新日:2024年02月07日

Q相続放棄後にしてはいけないことというのはありますか?

A

 相続放棄後にしてはいけないことについては、民法921条に定められています。

 具体的には、次のような条文が存在します。

 

 次に掲げる場合には、相続人は、単純承認をしたものとみなす。

 1 (省略)

 2 (省略)

 3 相続人が、限定承認又は相続の放棄をした後であっても、相続財産の全部若しくは一部を隠匿し、私にこれを消費し、又は悪意でこれを相続財産の目録中に記載しなかったとき。ただし、その相続人が相続の放棄をしたことによって相続人となった者が相続の承認をした後は、この限りでない。

 

 相続放棄後にしてはらないことは、民法921条の第3号に定められています。

 条文を分けてみますと、相続放棄後に、①相続財産の全部若しくは一部を隠匿すること、②私にこれを消費することをしてしまうことをすると、単純承認をしたものとみなされてしまい、相続放棄が無効になるとされています。

 民法921条第3号には、「悪意でこれを相続財産の目録中に記載しなかったとき」という要件も記載されていますが、これは限定承認をした場合のことですので、相続放棄にはあてはまりません。

Q「相続財産の全部若しくは一部を隠匿すること」とはどういったことですか?

A

 相続財産の隠匿とは、その相続財産の所在を不明にする行為のことをいいます。

 例えば、相続財産である現金を持ち去って他の人にはわからない場所に移してしまうことが挙げられます。

 この行為が禁止される理由は、次のようなものであると考えられます。

 まず、相続人全員が相続放棄をすると、相続人がいなくなります。

 被相続人に債務があった場合、被相続人の債権者が相続財産清算人の選任を申し立て、相続財産から債権の回収をする可能性があります。

 このとき、もし相続放棄をした元相続人が相続財産を隠匿してしまうと、被相続人の債権者による債権回収を妨げてしまい、実質的に損害を発生させてしまうことになります。

 なお、財産価値のない相続財産の形見分け程度のものは、隠匿に該当しないとされています。

Q「私にこれを消費すること」とはどういったことですか?

A

 相続財産を私に消費するとは、相続放棄をした元相続人が自分の意志で相続財産を処分する行為のことです。

 処分する行為の典型的なものとしては、相続財産である自動車や不動産を売却することや、建物を取り壊して廃棄することが挙げられます。

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